昨年の初夏に引退するか否かの分岐点に立った父は、
その秋引退しました。
父の仕事場である8畳間の一角は板の間になっており、
そこに置かれたミシンで父はおよそ50年間、鞄を縫い続けてきました。
ラジオを聴きながら、
母と話しながら、
子供たちと相撲や野球を観ながら、
そうして家族を養ってきました。
ミシンとお別れの日、業者の方が手際よく解体していきます。
外に運び出されてトラックが来るのを待ちます。
ああ、何とも言えない気持ちでした。
幼い私はこの足踏みペダルに乗ってよく遊んだものです。
古いこのミシンは次の使い手を探すこともなく廃棄されると、
業者の方が言っていました。
お疲れさま、ですね。
父は平静な態度で見送っていました。
なんとも言えない気持ちですね。
返信削除お父様のお使いだったミシン…
とても綺麗ですね。
うっすらとして来たLでした
そうなの。お父ちゃんの引退も感慨深いけど、
返信削除ミシンそのものがなくなっちゃうのもなんともね・・。
私が生まれたときから当たり前にあったからね。
でも、今や「ミシンがないと広くていいねー」なんて言って
きゃっきゃ喜んでバブーを遊ばせてる、
のんきなお母ちゃんと私。
女は切り替えが早い、ってか。