2013年4月1日月曜日

父の勇退 (さよならミシン)

前にも記したことがありますが、私の父は鞄職人です。
昨年の初夏に引退するか否かの分岐点に立った父は、
その秋引退しました。

父の仕事場である8畳間の一角は板の間になっており、
そこに置かれたミシンで父はおよそ50年間、鞄を縫い続けてきました。
ラジオを聴きながら、
母と話しながら、
子供たちと相撲や野球を観ながら、
そうして家族を養ってきました。

ミシンとお別れの日、業者の方が手際よく解体していきます。

 
外に運び出されてトラックが来るのを待ちます。

 
ああ、何とも言えない気持ちでした。
幼い私はこの足踏みペダルに乗ってよく遊んだものです。
 
古いこのミシンは次の使い手を探すこともなく廃棄されると、
業者の方が言っていました。
お疲れさま、ですね。
父は平静な態度で見送っていました。


2 件のコメント:

  1. なんとも言えない気持ちですね。
    お父様のお使いだったミシン…
    とても綺麗ですね。

    うっすらとして来たLでした

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  2. そうなの。お父ちゃんの引退も感慨深いけど、
    ミシンそのものがなくなっちゃうのもなんともね・・。
    私が生まれたときから当たり前にあったからね。

    でも、今や「ミシンがないと広くていいねー」なんて言って
    きゃっきゃ喜んでバブーを遊ばせてる、
    のんきなお母ちゃんと私。
    女は切り替えが早い、ってか。

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